SE(システムエンジニア)が休日、深夜に仕事をすることは珍しくありません。詳しく書くと差し障りがあるかもしれないので、架空の話として書いておきます。いや、架空の話です。
3月下旬の3連休は、某顧客(私ら)の新システムの本番環境への移行ということで、SEの皆さんは客先への休日出勤となりました。それに対して、顧客側も、守衛的な立場での出勤が余儀無くされました。
私が出勤した2日目、作業は20時までのスケジュールでしたが、SE側から作業時間を延長してもらえないか?夜の何時まで可能か?という相談がありました。前日も約束の20時を過ぎて23時近くまで作業したらしい。どうやら、うまくいかないことがある。作業の延長を申し出ることはSEとして不名誉なことでしょう。しかし、元々、2ヶ月掛かる作業を顧客側の事情によって1ヶ月でお願いすることになっていたもので、ここはシステムエンジニア魂に敬意を払うべきです。ちょっと考えて、
「とりあえず、22時までにしましょう。その時の状況で、また判断しましょう。」
と返事をし、作業を続けてもらうことにしました。
返事をしたものの、私は、22時まででは全然時間が足りないのではないかと不安になり、作業室に向かい、何故か食事のことを聞いてしまいした。実は深夜過ぎまでの作業を覚悟したのだと思います。
「皆さん、食事はどうされるんですか?」
リーダーの女性SEからは、かしこまりながら、とても誠意のこもったお返事が。
「私どもの都合で作業の延長して頂いているので、食事は、全ての作業が終わってからとる予定でございますので。。。」
それは、そうですよね。。。馬鹿なことを聞いてしまった。
私は食事のため一時外出します、と言うことで一時帰宅しました。娘の高校入学準備で疲れ気味のお嫁ちゃんは、SEの仕事振りに「何やってんのよ」と呆れ気味でしたが、そもそもの経緯を説明すると理解してくれました。家で食事をしながら、SEの皆さんの食事がとても気になって来ました。何か差し入れを持っていった方が良いのではないかと。
なぜ、気になったのか。それは、20年以上前の自分の立場を思い出したからです。
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東京都に納めるシステムのプロジェクトに関わっていた私も、やはり本番環境への移行、都庁での深夜の作業に従事していました。深夜作業後の仮眠に使った会議室、そこから見た、地球の丸さがわかる程の東京都の夜景も思い出しました。そう言えば、あのプロジェクトに従事していた時、夜遅く、東京都職員の島田さんからマクドナルドのハンバーガーの差し入れがあったな。。。。
食事を終えた私は、お嫁ちゃんの了解を得て(私は尻に敷かれている)、スーパーで10名分のパン類を買い込み、夜の職場に戻りました。
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翌々日、リーダーの女性SEから、お返しの土産を頂きました。そんなつもりではなかったので申し訳ありませんでした。
「とても、勇気づけられました。。。」
「えっ!!」
自分の気持ちが伝わったのだと、とても嬉しくなりました。